県道84号線のアップダウンがいよいよ終わりを告げ、麓の町を貫く平坦な道となった。

その始まりには、なんとも情感あふれる蔵元がある。

県道84号線から脇道へそれてすぐ。

脇道の始まり、満名川のほとり、並里橋の袂。

一本の大きな琉球松。

川を挟んでこちら側は、暮らしが滲んでいる小道。

向こう側の県道84号線はアスファルトで舗装された旅人の道。

その両方の道の交わりにある蔵元、山川酒造

樹齢100年以上、

枝振りも見事に悠々と立ち栄えているその大きな琉球松には、

大変失礼な話だが、まるで蔵元の表札のよう。

飾りもなく、奇をてらうわけでもなく、近代的でもなく、豪華でもなく、

山川酒造は、ただそこの風景にとけ込んでいる。

通り過ぎながら眺めるのもかまわないけれど、

並里橋を渡り、路地に入り、

風景の細部をゆっくり観察するというのも

なかなか魅力的で味わい深いと思う。

やがて県道84号線は本部町並里から

町の中心、渡久地へと続き国道449号線と合流する。

【渡久地/toguchi】


回り道なら県道115号線。

そろそろ海を、というなら国道449号線から県道114号線。

本部山原の道は、まだまだ奥が深い。

カリスト地形の山里、大堂。砂と福木の里、備瀬。彩りの海、備瀬崎。

【山里/yamazato 大堂/ufudo 備瀬/bise 備瀬崎/bisezaki】


 

早くよりゆっくり。眺めるより味わう。客観より主観。

自分なりの味わい方を、自分なりの場所を発見したとき、

本部山原の道は、ますます魅力的になるだろうし、

新しい沖縄の横顔をいくつも発見できるに違いない。

そしてまた、道は続く。